My wonder story

僕と音の旅物語 訪れた90ヵ国以上の記録 未来はいつも変えてゆける。 




タンザニアで強盗にあった話  :: 2015/08/31(Mon)












『タンザニアで強盗にあった話』





首都 “ダルエスサラ―ム”に到着したのは

8月26日 早朝の3時


バス会社のオフィスに待機し
日が出た翌朝、キャリーケースだけ
ひとまず預かってもらい 僕は街へと繰り出した



大通りを歩いていると

突然、男が話しかけてきた


見た目、こぎれいで今時のオシャレな格好をしている30歳ほどの男性


交わした会話の内容は
おおまかにこんな感じだった


男 『こんにちは! 君はミュージシャンかい? 僕もそうなんだよ。何してるんだい?』


自分 「今は街歩きをしているところだけど、後で昼のフェリーに乗って
ザンジバル島(有名な観光名所) に向かうところさ」


『お、いいね。ちなみに出身はどこなの?』


「日本だよ」


『おぉ! じつは僕の奥さんも日本人なんだよ。42歳の~~さん』


「どこで知り合ったの?」


『僕の勤めてる音楽スタジオさ。今から彼女に連絡かけてみるからちょっと待って。』


そう言うと、彼は携帯を耳にあて彼女のレスポンスを少しの間待った


 『うーん、、なんか今電話には出れないみたい。。

あのさ、これからほんの少しの時間でいいから 一緒に僕のスタジオでセッションしない?』



「いや、これから街の中心も見てみたいし

バス会社のオフィスに置いてきたキャリーケースも取りにいかないといけないから
12時のフェリーの出発時刻まで、もうあまり時間ないよ。」


 『あれ、フェリーは12時半に、安いものが出てるはずだよ』


 「あ、そうなの?」


 『今から中心地や、音楽スタジオに寄ってもフェリーには乗れるはずだから、一緒に遊ぼうよ。

とりあえず 友人がフェリー会社に勤めてるから彼に連絡とってみるよ。』



今にして思うと、、

“彼がミュージシャンである” という点を
疑ってかからずに信じこみ、心のセキュリティーを緩くしていた自分がいた


旅中にこっちを欺いたりするようなミュージシャンに会った記憶はなく

だから、いつもは警戒して相手にしない輩とは対照的に、
彼には早くも、少しの親近感を覚えるまでに至っていた



少しすると

『フェリーチケットを予約する為に、君の名前を教えてほしいと友人が言ってる』 と

電話を片手に彼が尋ねてきた


「いや、他のフェリー会社もあるんだったら、
直接まずフェリー乗り場に行って、値段などを見比べた上で、チケットを買いたい」


と はっきりとした口調で伝えると、彼は納得してか電話を切った



港には沢山のフェリー会社があり、
日々、顧客獲得合戦で火花が散ってるんだそう

だから彼の友人も事前に予約をとらせたくて必死なんだそう



彼からなんとなく納得のいく話を聞かされながら
また少し歩いていくと、、

大勢の人々が行き交う賑やかな場所に出た




『ここが、街の中心地さ』


彼がそう言ってきたところで、
僕らのすぐ横に一台の車が止まりドアが開いた

運転手は、体つきのいい
彼と同じくらいの30歳ほどの若者だった


『この運転主がさっき連絡をとっていた僕の友人さ。
フェリー乗り場まで乗せていってくれるっていうから、今からこの車で行こう!』 と


彼は、すこしこちらを急かすように誘いをかけてきた


しかし これはさすがにリスクが伴うな。。 と 直感的に思い

「会ったばかりの君達の車に乗ることはできないよ。ごめん、、、」 と断った



『心配しないで 僕を信じて!』


「いや、乗らないでいくよ」


『大丈夫だよ。 僕を信じて! 僕を信じて!』


情熱的にこちらを説得しようとする彼


“Trust me (ぼくを信じて)” 

この言葉を何度も熱く連呼する彼を信じてみるのも、ありなのかな。。


そう一瞬でも思った自分が、、、





甘かった。。。。。。





旅中の出会い


人の手助けを疑ってかかり
後で、“ごめんなさい。。” と 申し訳なく思うこともある

だから、善意かどうか見極めるのは
時に、とても繊細なことで、最後は自分の勘を頼る他ない


この時僕は意を決して

“彼らの手助けを借りる方” を選んだのだった


車は息つく間もなく発車し
助手席に座った彼はすぐに口を開いた


『じゃあ、銀行でお金を換金してフェリー乗り場でチケットを買ったあと、

君のキャリーケースをバス会社に取りに行って、最後にスタジオでセッションをしよう』


「タダでそこまで乗せっていってくれるの?」


『あぁタダさ。』


そうして走り出してから 数分後、、


途中で、見知らぬ20代半ばほどの若者も乗り込んできた


『彼も、君と同じく、これからフェリー乗り場に向かうお客さんだよ』


ふーん、、


『ねぇ、この曲知ってる?』


そう言うと、彼は少し前の日本のJPOPを大音量でかけだした


日本製だった彼らの車に元々入っていたものだろう


それから車はかなりのスピードを出しながら海岸沿いの道に出た


おかしいな、、


“10分もかからない距離にフェリー乗り場がある”と
人から聞いたはずなのに、もう結構走ってる


警戒心を完全に解いてはいなかったので多少不安になり
助手席にいる彼に、後ろから確かめてみた


「ねぇ、フェリー乗り場ってもっと近くにあるんじゃないの? ほんとに今向かってるんだよね?」


『大丈夫。いいから僕を信じて。』


彼の声音からは、力強い自信が感じ取れる


『あのさ、ちなみに、銀行に先にいくか、そのままフェリー乗り場に向かうかどっちにしようか?』


「うーーん、じゃあ先に銀行で。。」


こうやって普通に対応する彼が目の前にいても
何故だか胸が騒ぎ出していた


時々、運転手の男と
個人的なことを静かにスワヒリ語で何かしゃべってるのも気になった

それに、こちらに話しかけてくる時はいつも明るいが、
背中を向けてる時は、彼の肩からどこかただならぬ空気が出ている気がしてならなかった


依然、大音量でJPOPをかけながら、
車は人通りのない、静かな住宅地へと入り、突然停車した


そして次の瞬間


さっきまで穏やかだった車内の空気が一変して殺気立った


運転手が前から後部座席にさっと移ってきて
客だったはずの隣の男と一緒に、僕の体を抵抗できぬように押さえ込み
ポケットの中をあさり出したのだ


『金を出せ。』


彼らが本性をあらわにした


助手席の彼の手に、財布、スマートフォン
そしてパソコンなどが入ってた手持ちの肩掛けバックが行き渡る


両サイドの二人は、ポケットにとどまらず
靴下の奥までくまなく自分の体をまさぐってきた


ベルトも外され
パスポート、銀行、クレジットカードが入ってた
大事な入れ物も含めてすべて、彼の手に渡った



『持ってるお金全部だせよ。これで全部だろうな?』

『銀行のパスワードはなんだ?』


それだけは言いたくない。。と思い、口ごもると


顔面を殴られ

『教えろよ!殺すぞテメ―!』と彼は脅しをかけてきた

つい数分前まで、こちらに笑顔をふりまき、
手助けしようとしてくれていた男のあまりの豹変ぶり。


人間の怖さをみた。


お金よりも命

それはわかってる。


仕方なく渋々と彼にカードの暗証番号を伝えた

「番号は~~だよ」


それでも、彼は執拗に

『これで絶対あってるんだな? もし違ってたら殺すぞテメ―。わかったか?』と

すごい見幕で何度も脅したててきた


終始殺気立っている車内に
大音量で流れていた陽気なJPOP音楽


なんだかキューブリックの映画みたいな矛盾だ


きっと叫び声やどなり声を外にもらさない為のひとつのアイデアだったんだと思う



人通り手荷物を物色し終えた彼に、おそるおそる思いを伝えた


「お願いだからギターだけはもっていかないでくれ。」


『安心しろ。用のない手荷物と一緒にあとで返してやる』


隣の男に押さえつけられたまま
車はまた走り出し、近くの銀行に到着した

『いいか? もしも暗証番号が違ってたらお前を殺すからな!』


相変わらずの見幕で、最終の確認をし終えると
助手席にいた彼は、一人でATM に向かった


車内に残った仲間の二人。そして自分


両サイドのドアは自動式で
しっかりと鍵がかけられている

なんとかしてドアを開けられないか。などという素振りを見せることも
大きなリスクに繋がる


出してはいないが、ナイフを隠し持っている可能性は十分にあった

こちらをそこまで動揺させないように
ひとまずは後ろポケットに待機させてるだけかもしれない。

それに、仮に逃げ出せても、
旅の盟友のギターを車内に置いてきぼりにはしたくない。。



助手席の彼が離れてから数分。。

駐車の違反を取り締まってる銀行警備員らしき女性が、
僕らのカーナンバーをメモ書きしてるのが見えた


両脇そして背後はスモークガラスで、外側からは中が見えないようになっていたが
フロントガラス越しに、女性は車内の僕らを一瞬だけ覗きこんだ


“助けて!!” 声にならない叫びが身体中にこだました


押さえつけられた身体を揺らし、
目で訴えかけてみたが、いまいち思いが伝わらなかった


“チャンスかもしれない”


そうとっさに思い立ち、脇にいた男性の手を力づくで払いのけ
勢いまかせで、今度は車のドアを何度も叩いた


ドン!ドン!ドン!! ドン!ドン!ドン!!

僕は今 彼らに捕えられているんだ!!

どうか気付いてくれ!

起きてることの異常さを必死に伝えたい一心でとった行動だった


彼女は突然の窓の激しい音に驚いた様子で
一瞬、足を止め、どこかいぶかしげな表情をしたのが
スモークガラス越しに見えた


しかしそこから起きてる現状が進展する気配はなく
隣にいた男性に、殴られ、もみくちゃにされながらまた身体を抑えられてしまった


『お前何やってくれてるんだよ!おまえはもうアウトだ! アウトだからな! 』


しまった。。

後先かえりみず、かなりのリスクを背負う行動に走ってしまった。。


息を切らせながら、それ以上の抵抗をやめた


と、そのタイミングでリーダー格の彼が助手席に戻ってきた


すぐさま自分を抑えていた男性が、今起きたことを彼に説明。


彼はひとまず、いったん外に出て

まだ近くにいた警備員の女性に平然を装い笑顔で話しかけ、
駐車料金を払い、また車内に戻ってきた


これからどうなってしまうんだろう。。

抵抗した代償として
どこかに連れられて、殺されてしまうかもしれない。。


「ごめん、俺がいけなかった。ごめん、、、

ただ、、俺はここで死にたくないだけなんだ 生きたいんだ! 生きたいんだ! 生きたいんだ!」


本音をぶちまけ 彼らの情にも訴えかけた

すると彼は意外にも落ち着いた様子でこう言った


『心配するな。お前を生かしてかえしてやる。』



そして車はまた走り出した


彼は目の前で分厚い札束を数え、
嬉しそうに取り分を分配していた

詳しく聞き取りはできないが、
スワヒリ語で、自分への皮肉も交じえながら
喜びを露骨にあらわにしているのがわかった


彼の様子から 罪悪感の三文字は、ひとかけらも見えない


どうして 被害者の僕を目の前に
そこまで嬉しそうにできるんだろう

人間の普通の感覚じゃない

ただ 狂ってるとしか言いようがない



気になる質問を投げかけてみても
『テメ―に話すことはない。黙ってろ』と突き放された


一度におろせる額に限度があった為
それから彼らは二件目のATMへと向かった


自分の中に 抵抗する気力はもうまったくなかった


お金をおろし終えると
大量の札束を土産に、またリーダーの彼は車に戻ってきた


取り分の50パーセントが彼で
あとの半分を、手伝ってくれた二人に報酬として与えてるみたいだった


『総額で~~シリング(タンザニア貨幣)、お前の口座から引き落とした。

これからお前を安全に解放してやる。』


そう言い、用済みになった荷物を返された


どういうわけか、銀行のカード、パソコンなどはちゃんと返され
“お金”と“スマートフォン”だけ彼の手に残った


パスポートやクレジットカード、他の小物も随分前の段階で投げ返されている


さらに彼は
『飯や、今夜の宿代に使え』とおよそ2000円分のお金を手渡してきた


思わず口から 「ありがとう、、」の言葉が漏れる


自分からお金を強奪した彼に、なんで感謝を伝えないといけないんだろう。。


矛盾からくる歯がゆい思いを、ぐっと我慢した



彼らはまた少し車を走らせ、割と人通りのある通りの近くで停車した


同じタイミングで、彼らが事前に電話して呼んでおいた
バイクタクシーが自分をピックアップしにやってきた


『車を出たら、振り返らずにあのバイクタクシーに乗れ。絶対振り返るなよ』


できるなら、
車のカーナンバーを記憶しておきたかったが
もうこれ以上ことを大きくしない為にと、言うことを素直に聞いた


ギターを返され、無言でバイクタクシーの方まで歩いていき、運転手の背中にまたがると
バイクはすぐに走り出した


行先はどこだろう。。


運転手は英語が理解できない様子


この彼に、いましがた強盗に遭ったことを伝えることさえできない


なにはともあれ

僕は生きている。

相棒のギターも無事だ。


冷静になろうと努めた


ひとまず、朝バス会社に置いてきたキャリーケースを取りに戻ろう


そう思い、メモしておいたバス会社の名前を運転手に伝えてみたが
まったく理解してなかった


どうにか行先を伝えたく質問を繰り返していると

大通りの路肩で運転手はバイクを急にストップさせた


が、止め方が下手で、バイクは倒れそうになり
思わず身を投げ出されそうになる

と同時に、交通違反を管理してる男たちが一目散に駆けつけてきて
運転手を、いきなり包囲した


なんだなんだ、、

強盗に遭ったあとに乗った
バイクタクシーの運転手が、今度は道路交通法の違反か?


あっけにとられながら、その様子を一瞬傍観したあと

もう どうにでもなれ。。という気持ちで、とぼとぼと、歩きだした



見渡すと警察達が、大通りの真ん中で車を誘導しているのが目に入った


まずは彼らの助けを借りよう。。


声をかけ自分の身に起こったことを、ゆっくりと説明すると

『ひとまず、日本の大使館に相談にいきなさい』とアドバイスされた


彼らからそれ程大きなリアクションは返ってこなかった


日常茶飯事に繰り返されてることだから だろうか。。




改めて違うバイクタクシーに乗り、

バス会社にキャリーケースを取りに行ったあと

僕は日本大使館のドアを叩いた








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この事件が身に起きてから一週間以上経った現在は

無事にタンザニアを出発して、行きたかったイスラエルにも立ち寄り、
大事なミュージシャン友達との約束を果たす為に、スペインに来ています


先日 Facebook上で、応援してくれてる世界中の人に
事件のことを知らせたら

沢山の前向きなメッセージが届き 

『自分は今世界のみんなと “うたう旅” をしているんだ』 と実感させられました


彼らのオモイに、未来でもっと応えたい


どんな道を通ってもまた、より素晴らしい明日につなげていけるのが人生の面白さ


そう信じながら、9月10日にひとまず日本に帰国します




最新の記事に詳細を載せた
“10月15日”に赤坂ノーベンバーイレブンスで開催予定の
帰国記念ライブ&トークショー

よければ見にいらしてください




会場での再会 とても楽しみにしてます!















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